トガニ 幼き瞳の告発(韓国映画)

洋画
法改正まで行われた問題作 立ち上がった韓国国民に拍手を送りたい
学校ぐるみの凶行を知った教師が立ち上がる!実在の事件がベースの衝撃作
韓国の聴覚障害者学校で起きた虐待事件がベースのドラマ。
「サスペクト 哀しき容疑者」のコン・ユが、被害者となった生徒たちのために奔走する教師を熱演して感動を誘う。
 韓国での公開後、モデルとなった事件を起こした学校への批判が殺到。
学校は廃校となり、障害者や児童への虐待にたいする時効を撤廃するトガニ法が制定された。
田舎町の聴覚障害者学校に赴任した、美術教師のイノ。
校内に漂う不穏な空気を感じ取った彼は、次第に生徒たちが教師から虐待されているのを知る。
人権センターのユジンと連絡を取って告発に動くイノだが、警察とも癒着する校長たちからの妨害を受けるように。

女子学生の手足を縛って性暴行した容疑(強姦致傷など)で起訴されていた前・行政室長に対して下されたのは、懲役12年の実刑で、加えて10年間の身元公開と電子足輪装着10年も命令された。今回の判決は検察が求刑した懲役7年よりも5年重い刑である。これは、権力を隠れ蓑にして、本来保護すべきはずの生徒に対し行った極めて悪質な犯行であること、そして被告が反省の色もなく犯行そのものを否定し続けている点を厳しく判断したというものだ。

この事件を題材にした『トガニ 幼き瞳の告発』では、「コーヒープリンス1号店」のコン・ユが、事件を告発していく教師役を熱演。えげつない性的暴行を受ける子役たちの悲痛な表情や、善人面をしながら子供たちを生き地獄におとしめていく校長と瓜二つの双子の弟である行政室長の嫌らしさ、薄気味悪さ、下劣さが出色である。

韓国では本作の公開後、子供への性暴力犯罪の処罰に関する改正案を“トガニ法”と名付けた。この法案は2011年10月28日に国会を通過し、見事、法律改正に至った。これにより、控訴時効が排除となり、再び審議された結果が今回の判決につながったという。裁判所は「事件が多くの人に知られるようになり、障害者への性暴行事件に対し厳罰を求める社会の声が大きくなった。そして国会ではトガニ法と呼ばれる法の改正もあった」と、映画の影響も大きかったことを明らかにした。

今回の判決に対し、『トガニ 幼き瞳の告発』の原作者コン・ジヨンは自身のツイッターで「犯した罪(の極悪さ)を考えると懲役12年では足りないくらいだが、求刑よりも重い刑になってありがたい」とコメント。一本の映画が、幼い子供たちの未来を救えたという事実が素晴らしい。原作者と本作を映像化したファン・ドンヒョク監督、そして演じた俳優陣はもとより、映画を見て立ち上がった韓国の人々にも敬意を表したい。【文/山崎伸子】

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